八万の法門は「死」の一字を説く(法話)
2024/10/06
10月は台風シーズンと言われ、近年では毎年必ず風雨による被害が出ています。しかし、そんな中でも「自分は大丈夫」「大したことないだろう」などとつい根拠の無いことを思ってしまう私たちです。このことを「正常性バイアス」といいますが、いつ死んでしまうかわからない「無常」であるこの世において、それは大変危険な考えであると言えます。
そんな考えをつい抱いてしまう私たちの心にグサりとささることを、浄土宗の二祖「聖光上人」は言われています。上人は「常に死を意識して念仏を称えよ」と言われ、「念死念仏」の教えを説かれました。その教えを説かれたのには、次のような理由があります。
【法然上人行状絵図 現代語訳より】
三十二歳の年、世のはかなさを知り、この上なく堅固な道心を起こし、現世の名誉や利得を捨てて、死後の身を救ってくれる心の拠り所を求めた。
目前において弟弟子(異母弟)三明房が急逝、人生の無常を実感する。
上記のような経験から、世の「無常」を強く実感され、浄土宗の教えに救いを求めていかれました。
聖光上人は自身のお言葉で
【聖光上人御法語 後篇二十七】
「聖光上人云わく八万の法門は死の一字を説く」
と言われています。
そのようないつか死ぬか分からない「無常」の世に生きる私たちが救われていくにはお念仏の教えしかないということなのです。いつか必ず迎える「死」を避けることは出来ませんが、いつその時が来ても阿弥陀さまの「極楽浄土」に救われていく為に、毎日「南無阿弥陀佛」と称え、備えておきましょう。合掌🙏
華頂寺住職 千々和光俊 拝