浄土宗総本山知恩院別院 華頂寺

皆様とのお念仏のご縁をお待ちしております〒805-0050 福岡県北九州市八幡東区春の町3-2-2

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お知らせ

施しの心の実践(法話)

2022/07/14

もうすぐ世間の子供たちは待ちに待った夏休みを迎えます。ここ数年新型コロナウイルスに翻弄されっぱなしの夏休みでしたから、今年の夏休みこそはのびのびと遊んでもらいたいものです。
私も子供時代は毎年夏休みを楽しみにしていました。その中の楽しみの1つに虫取り網で昆虫を捕まえて数日間飼っていたのを覚えています。今ではいい思い出です。
その昆虫のハサミムシについて最近知ったのですが、ハサミムシの母親は自ら産んだ卵がかえるとその幼虫たちに自身の腹のやわらかい部分を食べさせるそうです。体の一部を差し出してでも、育てようとする行為に、「なんと慈しみに満ち施しの心を備えた行為なんだろう」と感激致しました。
私の住む地域ではお施餓鬼の法要が6月から7月にかけて各浄土宗寺院で厳修されます。この施餓鬼の法要とは、餓鬼道に堕ちた常に飢えと渇きに苦しむ餓鬼に施しをする法要ですが、浄土宗ではお念仏をお称えした者は確実に阿弥陀さまに救われて往生致しますので、「施餓鬼会を勤める必要はないのでは」と疑問を持たれる方もおられるかもしれません。
確かにお念仏とご縁を結ばれお称えされた方は必ず極楽浄土に往生されていきますが、お念仏にご縁が無く餓鬼道に堕ちてしまっている方もおられるかもしれません。そのような全ての方々も救われていくようにお念仏を称え、亡き大切な方やご先祖様に功徳を振り向ける大事な意味を持つ法要、それが施餓鬼の法要なのです。
ハサミムシのように自らの体の一部を施すわけではありませんが、法要にお参りされた際は自身とご縁のある方のみに対してだけでなく、縁が無かった方の為にもお念仏をお称えする。そのような布施の心を養い、実践するそんな尊いお念仏をお称えする機縁にしていただければ幸いです。合掌🙏
華頂寺住職 千々和光俊